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【いい話】放置子だった私。お母さんの彼氏が来ると家を追い出されるので公園のすべり台の下が夜中の居場所になった。ある日いつも通りそこで過ごしていたら超派手なお姉ちゃんが公園にやってきた。

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私はいわゆる放置子だった。
お父さんは気が付いたらいなくなってて、お母さんとふたりで暮らしていた。
お母さんはだいたいいつもお酒臭くて、ときどき男の人を連れて帰ってきた。
男の人が来ているときは、雨でも夜中でも外に出されてつらいけど、
その後は、しばらくお母さんの機嫌が良くなるから助かってた。

小学三年生の冬、お母さんに彼氏ができた。
今までの男の人と違って、家に何回も出入りして、いる時間も長かった。
外に出される時間が多くなって、とても困った。

子供がいていい場所って案外ないんだよ。
特に夜中だと、すぐに大人に声をかけられて
「おうちは?おとなの人は一緒じゃないの?」
って聞かれる。最悪保護されて家に連絡される。
そうするとお母さんがとっても怒って三日くらい怖い。

結局、公園のすべりだいの中が夜中の居場所になった。
風がよけれて、人目につかなくて、トイレもある。
家を出されるときにちゃんと毛布と手袋を持っていくのがコツ。
できたら、なにかお菓子やパンをもらって出ていく。
ちょっとづつかじって食べると時間がつぶれて楽。

そうやってやってたんだけど、ある日いろいろ失敗した。
まず、その日は学校の帰りに雨が降って、手袋と靴が湿ってた。
そして、家を出されるときにお母さんを怒らせた。お菓子もなし。
その日は家に食べていいものがなかったから、おなかがすごくすいていた。

いつもみたいにすべりだいの中にいたんだけど
靴が湿っててどんどん冷えるし、手袋も同じだし、おなかすいたし
ほんと今日はつらいなぁってぼーっとしてたら
なんかめっちゃテンション高い歌声が聞こえてきた。

椎名林檎の曲を熱唱しながらやってきたのは、超派手なお姉ちゃんだった。
原色と黒の、ラメ入りでファーつきの服、ギャルメイク。

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