*

【激闘】サイゼリヤと俺の最終決戦の日の話を聞いてくれ

●コメント
お前みたいな馬鹿野郎は嫌いじゃないぜ

■俺
振り返り終えると、俺は店内を観察した。客はまばらに座り、混んでいるとも空いているとも言い難い状況である。
普段なら、勝ちを予想できる日であったが、問題は、最強の従業員、
大場・愛川ペアをサイゼリヤ側が用意していることであった。
これでは、勝負は五分と五分、いや、それどころか負けてしまう可能性が出てきた。

さすがにサイゼリヤもこの最終戦の重みを承知しているようだ。

●コメント
なんだろう。
嫌いじゃない。

●コメント
お前みたいなやつVIPでみなくなったな…

続けてくれ

■俺
少し怖気付いてしまった俺は、弱気になるといつも行なっている自己暗示をかけることにした。

「サイゼリヤは、イタリアンレストラン。俺は日本人。
これはいわば、国際大会で、日本とイタリアが戦うようなもの。そして、ここは日本。
完全ホームのフィールド(日本で戦っているから)と観衆(周りの日本人客)。勝てる、これは勝てるぞ!」

今一度気合を入れなおした俺は、ついにオーダーすることを決意する。

●コメント
そういう馬鹿なことすんの楽しいよな

■俺
今日は、シェフサラダ(サイゼリヤドレッシング)とトマトクリームスパゲティを食べる予定だ。
ちなみにシェフサラダは、一番勝てる(食べやすい)という今までの研究結果から選んだ。

勢い良く呼び出しボタンを押す。

…しかし、なかなか店員がやって来ない。もしや、今日は愛川・大場ペアは不調か?
相手の不調を察し、俺は歓喜した。
間違いなくこれなら勝てる!

そんなことを考えていると大場さんがやってきた。

いかにも申し訳なさそうな表情を浮かべていたが、俺が怒るはずもない。

むしろ、俺は、余裕の笑みを浮かべ、先ほどまで考えていたオーダーを得意げに注文した。

●コメント
初っ端から熱いな

■俺
オーダーを注文すると、俺は自分が浮かれていることに気づく。
この最終戦は気の抜けない一戦であり、もしかしたら、これが、
俺を油断させるための愛川・大場ペアの作戦なのかもしれないのだ。

こんなことで、やすやすと引導を渡されたのでは、ここまでの激戦を経験して来た俺のメンツは丸潰れである。

俺は、負けられないということを自分の胸に刻み直し、気を引き締めた。

冷静になった俺は最終戦のために残しておいた作戦を発動した。

「セルフサービスの水をもらいに行かない作戦」である。

だが、これは、自分にもデメリットを伴う。
喉が乾いていても、水が飲めないという点である。
あの水分を奪うドレッシングの攻撃をかわしつつ、サラダを完食しなければならないのだ。

オーダーの前に水を取りに行くというのも、考えたが、それはこの戦いのルールに反する。
オーダーをしてからが勝負の始まりなのだ。

これは恐らく愛川・大場ペアも予想していなかっただろう。

これまで俺はこのような戦いを予想し、毎回のように水を取りに行っていた。
そんな俺が初めて水を取りに行かなかったのだから。

●コメント
これはなかなか

●コメント
サイゼリヤ店員だがシェフサラダとイカスミスパゲティ(あればフレッシュトマトスパゲティ)の組み合わせが多分一番勝ちやすい
イカスミスパゲティは作るのが少し面倒だからな
ちなみに地雷はペペロンチーノ。スパゲティ系じゃ最速でできる

■俺
――そして、時は来た。

運ばれてくるシェフサラダ。それを持つ大場さん。
そしてそれを見ている俺。

ささっ、とシルバーボックス(銀食器の入った箱)を俺の手の届きやすいところに置き、完璧な準備をして待つ。一切油断はない。

「お待たせしました。シェフサラダでございます。」
テーブルにシェフサラダが置かれる。

俺は「ありがとうございます」と軽く会釈をしつつ、フォークを持ち上げながら、サラダと向き合う。

その瞬間、俺の脳内で衝撃が走った。

●コメント
こんな冷めた時代だからこそ俺さんのような大馬鹿野郎が必要なんだっ…!

●コメント
小エビのカクテルサラダが最強。シェフサラダは情弱

■俺
(いつもより…量が多いだと…?)

少しだけだが、ほんとに少しだけだが、量が多い。

よく考えれば、俺は、全従業員の内のホールに出ているスタッフの確認しか行ってこなかった。
今日に限ってサービス精神のある『キッチンの』従業員がいたとは…。

しかし、戦いは始まっている。

ここまでの思考は、わずか0.5秒(体感)のうちに終え、即座にサラダを食べはじめる。食べ始めればあっという間だった。

わざわざ腹をすかして店にきていることもあり、すぐにサラダは半分まで減った。
俺は、満面の笑みを浮かべ、しかし、食べる手を止めなかった。
まさに猛攻だった。

その時である。

?『失礼します。お呼びでしょうか。』

(なに!?…じゅ、従業員だと!?)

禁煙席に座った俺には見えなかった3人目の従業員がいた。

―――二十歳前後の新人女性アルバイターである。

●コメント
こういうの好きだ
続けなさい

●コメント
少しづつミラノ風ドリアの量少なくするのやめてくれ

■俺
(このタイミングでオーダーを取りに行く席を間違うだと?くそ!ありえない。こいつ、もしや、あの二人からの差し金じゃ…)
俺「あ…。(慌てて口を拭く)…こっちじゃないと思いますよー。」

新人「あ!すいません!失礼しました!」

俺「大丈夫ですよー。気にしないでください。アハ」

新人がこちらに背を向けると、すぐにフォークを持ち直し、サラダを食べ始める。
大幅な時間のロスが生じた。心の中は、焦りが支配していた。

短い会話だったが、人間として最低限の道徳心が働き、話す前に口を拭いたのがいけなかった。
その行為により、10秒ほど多く時間をロスしてしまった。

●コメント
スレタイでクレーマーなのかと思ったら全然違った

●コメント
なにこのスレ

かまわん、続けろください

●コメント
丁寧に口拭きすぎだろww

●コメント
思ったより面白いな

■俺
サラダを食べる焦りから、発狂する俺。
それを横からあざ笑うかのように見ている愛川・大場。と憎き新人アルバイター。
こいつらは、明らかに手を組んでいた(と思う)。

だが、俺も負けられない。この場面で意地を見せなければならない。

俺に残された秘策は出し尽くしてしまった。(まぁ、お冷のやつだけなんだけど)
あとは、俺の一番嫌いな根性論がものを言う状況になってしまった。
しかし、どうしようもない。
気合いで乗りきるしかないのだ。

ここまで勝つ算段を練っても、サイゼリヤはそれをいとも簡単に超えてくる。
全く恐ろしい店である。

―パスタの提供時間が迫る。

―サラダが減る。

ゴールが見えた!
俺は最後の一枚をフォークで突き刺す!

今までの絶望が徐々に勝利への期待へ変わっていく。
邪魔をする者は誰もいない。なにが起きようとこれを食べきれば正真正銘の勝利。
「失礼します。トマトクリームスパゲティでございます。」

邪魔された。期待も絶望に戻った。
背後から料理を持ってきた従業員に俺は気づかなかった。

ゆっくりと従業員を見る。そこに立っていたのはさっきのバイトだった。

●コメント
負けたか…

■俺
トン、とあっさりとテーブルに乗せられた「それ」は、俺の思っていた色とは違った。

オーダーをする前には、勝利の祝いにふさわしい『紅白の赤』色であったはずが、
俺がそのとき目にしたのは、高校時代に目にした『赤点の赤』によく似ていた。

2つの皿を目の前に俺は悲しみにくれた。

●コメント
教習も佳境を迎え、教習帰りの道にあるこの店に来るのは、これが最後だなと思い、
挑んだ最終戦がこんな結末になると誰が予想しただろうか。

それからのことはよく覚えていないが、相手の勝利を称えるという名目で、生チョコケーキを頼んだことは覚えている。
いや、よく考えてみれば、会計の時の大場さんの敗者に向ける笑みも覚えている。

俺は悲しみに暮れたまま帰途についた。

●コメント

■俺
ごめん、みんな。
俺、勝てなかった。

こんな俺を許してくれ。

●コメント
おまえは良くやった。

今度車を買ったら、その車でサイゼリヤに行けばいいさ。

■俺
そうだよね。
絶対勝ち逃げしてやる!

●コメント
乙かるぼなーら

●コメント
クレームでもしたんかと思ったらワロタ

●コメント
免許とってから車で行けよwwww

■俺
そして、読んでくれてありがとう!

タイミングとかも考えてやりたかったから書きためしました。
書き物するのは好きなので、また、こういうことがあったら、こんな感じで書こうと思います。

その時は、また読んでねー!

●コメント
ったく、こんな寒いときにわざわざマウスをスクロールしてみてやったのに……。

嫌いじゃなかった

●コメント
水なしで生チョコケーキを食したのならお前も立派なサイゼ戦士だ

●コメント
勝負仕掛けたにしては食うの遅すぎだろwwwwwwwwwwwww

■俺
提供までの時間は3分強なんだが、俺はやっぱり食うのが遅いから、あんまり時間には言及できなかったんだ
だから、あえて伏せちゃった

●コメント
俺、今度から提供時間遅くするわ・・・
持ってくと大体食べ終わってないんだもん

●コメント
最初にサイゼリヤ行ったときはビックリしたよ。
こんなに速いもんかと思って

●コメント
こんな腐れきった現代にこれほどの大和魂を持つ者がいるとわかっただけで感無量

●コメント
二郎の少なめ残す俺よりはえらいと思うんだが
どっかにサイゼリストとかサイゼライヤーがあるの?

●コメント
居酒屋行くよりサイゼ行くわ
ワイン安いし

●コメント
元旦に 二日酔いながら ガッツリ、サイゼで昼飲みするのが漢
普段でも 店員のスピードを緩める 酒呑みの速さなら負けないぜ

●コメント
俺もちょっとやってみようかなと思ったがこの県にはサイゼなかったわ

●コメント
こういうの嫌いじゃないぜwwwwwww

●コメント
面白かった

●コメント
面白かったw二郎のデュエルとは大違いだなw
ところで俺さんのサイゼリアは客席数ってどれくらいなんだ?その早さから察するに客席数は少ない気がする

■俺
席の数は30後半ぐらいだと思う
その内、今日は10組くらいいたと思う

なんか負けたのにすごく満足感があるよ。
また再挑戦するね!

明日朝早いから、もう寝るとします。

おやすみー

●コメント
なんか、昔を思い出したわ

また明日から頑張るか

●コメント
てっきり賃金不払いかクレームで戦ってるのかと思ったら違った
けど俺はこういう戦いの方が好きだなwww来年は勝てよ!

●コメント
古き良き馬鹿野郎よ
楽しい時間をありがとな、勝った時はまたスレたてろよな

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