【怖い話】自宅にホームステイさせている留学生をゴールデンウィークに一泊二日で少し田舎の方までドライブに連れて行った。畑が広がる田舎の県道を走っていたらカーナビに案内され、お城のような高い白壁の塀に囲まれた神社にたどり着き……
小川の向こう側には、鳥居がありました。
神社の中にまた鳥居があるなんて不思議だな、と思いながら、
その先を良く見ると、山の中へ入っていく石段のようなものが見えました。
スーザンが興味深々なので、間近で見ようと、
一緒に鳥居へ近づいていくと、
その鳥居が女性の腰くらいの高さの小さなものであることがわかりました。
スーザンは、その小さな鳥居をくぐりたいと言い出しました。
しかし、小川沿いに境内を端まで歩いて探しても、
向こう岸に渡ることができそうな橋が全く見当たらないんです。
小川は幅は3メートルほどで、くるぶしあたりまでの深さしかなかったので、
暑いくらいの天気なので、靴と靴下を脱いで、裾をあげて、
裸足で小川に入って、向こう岸にわたることにしました。
向こう岸に渡り、靴を履きなおすと、スーザンは四つんばいになって、
その小さな鳥居ををくぐりました。わたしもジーンズを汚しながら、
四つんばいになって鳥居をくぐり、スーザンと顔をあわせて笑いました。
鳥居の奥の山へ登っていく石段を見上げると、わたしは急に、
その先に何があるのか急に気になりだしました。
スーザンも同じ思いだったらしく、わたし達は、何も言わずに石段を登り始めました。
石段はすぐに終わり、普通の山道になりました。
木で日光がさえぎられ、とても涼しくて良い気分です。
さらに上へ上へと足を進めていくと、また小さな鳥居があり、再び石段が始まりました。
鳥居の横には石碑が建っており、神社の名前が書いてありました。
わたし達が最初に入った大きな神社とは全く違う名前です。
地面が濡れていて、さすがに四つんばいで潜るのは気がひけたので、
鳥居の外側を回り、更に石段を少し昇ると、人影が見えました。
二人組みの子供です。
近づいていくと、二人の子供たちが小さな声で何か歌っているのが解りました、
それと同時に、その歌声から、その二人組みが子供ではなく、
小さな老婆であることがわかりました。
わたしたちに気づいているはずなのに、彼女たちは歌をやめる気配は全くありません。
歌は、聴きなれない言葉がちりばめられていて、
「どうかあと10年生かして欲しい」といった内容で
「ありがたき」という単語が何度も出てくる不思議なものでした。
石段がある坂の左手に小さなお堂があり、
老婆たちは、そこへ向かって手を合わせています。
老婆達は、この暑さの中、毛糸で編まれた厚手のカーディガンを着ています。
老婆たちの背中越しに、わたしも、そのお堂に向かって手を合わせました。
わたしの動きにつられて、スーザンも手を合わせます。
お堂には、茄子やピーマン、キャベツといった野菜が大量にお供えされています。
その上の段には、大豆のような形で、表面がガタガタの球体がありました。
大きさはバスケットボールよりも、二周り小さいくらいの小さいくらいでしょうか。
どうやら石でできているようで、光沢感があり、
木の間から差し込む光に反射しています。
歌が終わると、老婆たちは、わたし達のほうを振り向きました。
老婆達の顔をみて、一瞬ぎょっとしました。
彼女達の顔が真っ赤だったんです。
朱色と言えば伝わりやすいでしょうか。
老婆たちは、不思議な化粧をしていました。
眉間のあたりから、眉の上を経由して、あごを通って顔全体を一周するように、
口紅のようなものを塗っていたのです。
最初は血か何かだと思い、かなり驚きました。
驚きのあまり、「こんにちはー」と声を上ずらせて挨拶すると、
老婆達は、さっきの神主と同じように聞き慣れないイントネーションで話しかけてきます。
最初に年齢を聞かれました。老婆たちの言葉は今となっては細かく思い出せません。
「何歳か?」という問いに、「23歳です」と答えると、
「まだ若いので、これ以上、石段を登るのは、バツをほうず(る?)」
と言われました。細かい言葉までは覚えてないのですが、
”バツをほうずる”というフレーズだけ頭に残っています。
老婆にそう言われ、石段の上へ目をやると、
お堂がある場所(わたし達が居る場所)から
さらに長い距離、真っ直ぐ石段が続いており、突き当りには、大きな社があります。
社の前に、人影が見えますが、
木が鬱蒼としてて薄暗くて良く見えません。
その時、スーザンが老婆達の前で、初めて言葉を発しました。
お堂の中を指差し、そこに祀られている、大豆のような
ゴツゴツとした石のような物体を指をさしながら、
「これはなんですか?」と訊いたのです。
すると、老婆達が、「ギエー!」という大きな悲鳴を上げました。
「日本人じゃない!」 「バツをほうず!」「今すぐ降りろ!」
「降りろ!降りろ!」とまくし立て始めました。
スーザンは目が青いものの、黒髪で体格も小さいので、老婆達は。
スーザンがアメリカ人であることに、彼女が片言の日本語を発するまで気づかなかったのでしょう。
上の大きな社へ目をやると、老婆達の悲鳴を聞いたからか、
先ほど見えた人影がこちらへ向かって降りてくるのが見えました。
動きは急いでいるようですが、足がわるいのかソロリ、ソロリと降りてきます。
わたしは怖くなり、スーザンの手を引いて、足早に石段を駆け下りました。
その時のスーザンの手は、酷く汗ばんでいて、
冷たかった。
一度も振り返らず、山に入る時に四つんばいになってくぐった、
小さな鳥居のところまで降りてきました。
二人とも、急いで靴を脱ぎ、小川を渡リはじめた時、異変に気づきました。
先ほどは、くるぶし程までしかなかった小川の深さが、膝に達するくらいまで深くなっていたのです。
なんとか反対岸まで渡り終え、後ろを振り返ると、
スーザンは小川の真ん中で立ったまま動かなくなっています。
「スーザン?大丈夫?」と問いかけると、
決してわたしの前で英語を喋らないスーザンが、英語で絶叫し始めました。
英語が苦手なわたしは、全くなにを言っているのか聞き取れません。
絶叫が途切れ、口をパクパクさせた後、スーザンはそのまま川の中に倒れこみました。
その時、わたしは後ろに気配を感じました。
後ろには、お守りを売ってくれた、若い神主さんらしき男性が立っていました。
彼は、服が濡れるのもいとわず、川に入り、スーザンを支えるようにして、
こちらの岸まで連れてきてくれました。
スーザンは、体に力が全く入らないような状態になっており、呼吸も荒くなっていました。
神主さんらしき男性と二人でスーザンを抱えるようにして車まで運びました。
男性は、わたし達の車が駐車場にあるのに、わたし達の姿が見えないことを心配して、
あたりを探していたそうです。
「まさか、あの深い川に入で水浴びしてるなんて思わなかった」と言われ、
「最初は、くるぶしくらいの深さしかなかった」と答えると、
男性は酷く驚いていました。
さらに、わたし達が石段を登った先で見たものについて話すと、
男性の顔が一気に青くなりました。
そして、わたし達が石段の上へ行ったことについて、怒りました。
老婆達について深く聞こうとすると、
「いるはずがない」「入れないように橋を撤去した」と言い、
男性は更に顔を青くして震えだしました。
続けて彼は、「早く帰ったほうがいい、今日のことは忘れたほうがいい」と言いました。
わたし達が体験したことについて、もっと詳しく聞きたかったのですが、
男性の尋常ではない対応を眼にして、
それ以上質問を続けることはできませんでした。
スーザンの具合が悪いので、わたしは車を発進させ、
神社の駐車場を出たのは、お昼を少し過ぎたあたりでした。
住宅街を抜けて、県道へ出て、そのまま自宅へ引き返しました。
スーザンはその後、風邪を引き、高熱を出しました。
数日は食べ物も喉を通らず、なんどか病院で点滴を受けていました。
スーザンは8月に帰国してからも健在で、未だにメールの交換を続けています。
ただ、スーザンは、あの日のことを良く覚えていないようです。
「神社の川でおぼれたのは覚えているんだけど」
それが彼女の唯一の記憶のようです。
わたし一人が白昼夢をみたのでしょうか。
「あの老婆達は何者だったのか?」
「小川の向こう側の小さな神社の招待は何だったのか?」
気になるものの、あそこへもう一度足を運ぶ勇気がありません。
今でもたまに、石段を登る夢をみることがあります。
●コメントA
>>留学生と神社さん
小川に橋がかかってない時点で「行ってはいけない場所」と
察してください、次回からはw
でもだからこそ「何だろう?」と惹かれてしまう気持ちもありますよね。
しかし薄気味悪い話ですね。
若いから罰をほうず?と外人だから罰をほうず?、何なんでしょうか。
何県のどこらへん、くらいまでは良ければ知りたいです。
●コメントB
私も長文苦手だけど、スーザン話は結構面白かったよ。
描写とか結構文章にするの難しかったと思うけどよく書けてるよ。
自分だったらうまく説明できないだろうな。
ただ、何県何市の話なのか知りたいです。
せっかく老婆の化粧の描写とか、石でできたギザギザ大豆の描写とかよく
説明してくれてるのに、それだけだと手がかりがなくて。
どこの話か分かれば、事の真相を知る手がかりになるかも。
実話なら。
■留学生と神社
レスくれた方ありがとうございました。
今になって、自社にまつわるオカルト話のスレに書けばよかったのかと思います。
>>●コメントAさん
やっぱり行ってはいけない所ですよね。
探検隊にでもなった気分で楽しんでいたんですけどね。
住所でググると、周辺の住宅街が、社会的に曰くつきの集落だったことが解ったので、
一応名前と場所は伏せておきます。
驚いたことに、神社の中に小川があり、その先に山へ向かって小道があり、
先に別神社があるという形は、京都市内の某有名観光地にもあるみたいです。
そちらは小川の上にきちんと橋が架かってますけれど。
ちなみに、京都のその神社の中にある小さな神社は、
心霊スポットとして有名なようです。
>>●コメントBさん
山の手前の大きな神社については、
どうやら新興シ*ウ教的な意味合いを持つ新しい施設のようです。
石段の上の神社は、調べても全く名前が出てきません。
周りの住宅街を調べると行き当たる曰くとあわせ、
あまり部外者が足を運んではいけない場所だったのかな、と
反省しています。
●コメント
おもしろかったよ
引用元: ・ 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?185
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1197885636/
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