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不器用に親切な高校生のころ

b681
事帰りの夕方。駅に向かう途中。

盲目らしい男性が白い杖で、
点字ブロックを辿りながら勢いよく歩いていた。

私は目が不自由なのに、しっかりした足取りで
凄いなとか思いながら眺めてた。

そして、少し行ったところの信号。
この時は赤になったばかりだった。

この信号は音が鳴る仕様。

点字ブロックも続いている。

そこで急に男性の前に割り込んだ高校生らしい男子。

当然、ぶつかる。

男性が軽く謝罪し、男子もボソリと謝罪はしたようだった。

しかし、そばで見てた私はイラっとした。

急に出てきて点字ブロックを塞ぐなよって。

でも、男子の前を見てみると、そこに母親と小さな子供がいた。

母親と手を繋いでるとはいえ、
子供は点字ブロックに乗っていたのだ。

このまま男性が進んでいたら、
子供に勢いよくぶつかってしまっていたと思う。

イラっとする行動だが、偶然にぶつかったのが子供ではなく、
男子の方でよかったと思った。

更に、この信号を渡った先の、信号も無い短い横断歩道。

高校生男子は、故意に盲目男性の前を歩いているようだった。

この時もビビリな私は進行妨害すんなよと
心の中で悪態をついていた>>>

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して横断歩道に辿り着いた時。

男子が片腕を守るように広げた。

盲目の男性は再び男子にぶつかって、先ほどと同じように謝罪していた。

男子も先ほどと同じようにボソリと謝罪していた。

私は何が起きたか分からなかったが、
徐行しないで曲がってきたトラックを見て理解した。

男子はさっきから、盲目男性に嫌がらせをしていた訳ではなかったのだと。

子供にぶつかりそうな盲目男性の前に割り込んだのも、
前を歩いてるのも不器用な手助けだったのだ。

結局、男子は駅の構内まで盲目男性の前を歩いて
障害物などから、不自由な男性を守っていた。

男性は進行妨害されたと思ったかもしれないけど、違いますからね。

高校生のころ、特に男子はぶっきらぼうなもの。

少しだけ大人の私からしたら、
ひと言、僕の腕につかまっていてください、
とか言えばよさそうなものを。

それを言わない(言えない?)不器用な優しさが
もどかしくもあり、微笑ましくもあり。

何もして差し上げなかった私を許してください。

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