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【不倫と復讐】嫁の会社の社長夫人から呼び出され、嫁と社長の不倫を知った→人生最大の修羅場に突入!!平穏な日常がこんなに呆気なく終わるとは・・・

とにかく時間を作ってくれないかと言われ、慌てて(会社の)近所の喫茶店で話す事になったわけ。

のっけから何の挨拶もなしに茶封筒に入った調査報告書なるものを手渡された。

COPYと判が押してあったから多分複製だったんだろう。

時系列にしてプロの仕事らしく丁寧にファイリングされていた。

内容の全容が明らかになるに連れ、持つ手が震えだしたのを覚えてる。

心臓がバクバクして視界が急に狭くなった。

それでも俺は現実をなかなか受け容れられず、何度も車でホテルに入っていく写真の女が嫁である事を確認した。

内容的には嫁と社長の浮気は不定期で偶発的なものだということ。

年に3~4回で常習的ではないということ。

途中の駅で待ち合わせ、社長の車でホテルへ行くというパターンが多いという事だった。

社長夫人は延べにして六年間も興信所の調査延長を余儀なくされたそうだ。

常習でない分、調査の裏づけに時間がかかったらしい。

具体的な金額は伏せるけど、都内で一軒家が建つぐらい調査費に突っ込んだというから凄い執念だと思う。

裁判沙汰になったとき言い訳できないように外堀を埋めたかったんだろうけど、慰謝料を考えたら完全に赤字だ。

俺に連絡してくれたのは俺嫁にも慰謝料を請求するつもりだから一応連絡してきてくれたんだそうだ。

でもその時は正直、慰謝料といわれても俺はピンとこなかった。

夫人は会社の上場祝賀パーティーでの会話で浮気を疑いだしたらしい。

ちなみにそのパーティは立食形式で俺も参加していた。

俺と嫁と社長と夫人で立ち話していたのだが、社長がその場を離れるときに俺に向かって

今日は二次会もあるから多分遅くまで嫁子さんをお借りする事になります的な事を言ったんだそうだ。

そのときに社長が(嫁に)アイコンタクトしたのを見て疑念を持ったと言うのだが、俺は全く覚えてない。

夫人に覚えていないかと聞かれたけど、正直俺は立ち話した事すらすっかり忘れてしまっていた。

ただ一つ、微かに思い出したのは随分前に一度、

帰宅途中に自宅の最寄り駅付近で嫁が誰かの車の助手席に座っているのを偶然見かけた事がある。

俺は帰宅後それを嫁に問い質したのだが、他人のそら似で済まされてしまって、そこで話は終わってしまっていた。

夫人は報告書を捲りながら、ある時から嫁を降ろす場所が変わっている事を俺に示してくれた。

俺の記憶と整合性が取れていると言って彼女は意気込んだ。

しかし俺はまだ心の準備が出来ていなかった。

とにかく俺自身の身の処し方もあるから少し考えさせて欲しいと言ってそこで別れた。

夫人に報告書を持ち帰るよう言われたが、見つかったら困ると思い断った。
帰りの道中、家が近づくに連れて足取りが重くなった。

俺は最寄で見た車中の嫁の姿を必死に思い出そうとしていた。

どんな表情をしていたのか、運転席には誰が乗っていたのか、いくら記憶を辿ろうとしても駄目だった。

そのときはまさか嫁の浮気なんて疑念は微塵もなかったのだから無理もない。

帰宅すると娘が模試で初めて志望校合格圏に入ったのだと嫁が凄く喜んでいた。

嫁の表情からは罪悪感など微塵も感じられなかった。

俺が手渡された模試の結果に目を通していると、嫁に促された娘が照れくさそうに自室から出てきた。

俺は絶対に(志望校は)無理だと思ってたと言うと、嫁は頑張ったもんねと娘の肩を叩いた。

思春期ですっかり俺と会話を交わさなくなった娘はそれでも喜びの表情を隠さず、

これから克服すべき点を饒舌に説明してくれた。

意気揚々と自室に戻っていく娘を見送りながら、

こうやってどんどん子供は成長していっちゃうんだなと見当はずれな事を呟いた。

後たった五年で二十歳だと嫁が応えた。

娘の成人した姿を思い浮かべた。

例の一件が過ぎり複雑な胸中でいると、娘が出ていっても私が居るじゃないと言って背中を叩かれた。

嫁の表情に嘘はないように思えた。

いや、むしろ社長夫人が何らかの悪意を持っていて捏造した情報を俺に提供してきたのではという疑念さえ沸いてきた。

やっぱりあの報告書を貰っておけば良かったと後悔した。
結局、一人じゃ抱えきれずに俺がいつも頼りにしている親友に相談してみる事にした。

ちなみに親友は飛ぶ方の整備士をやっている。

アマチュア無線とドライブが趣味だが、基本的にそれ以外の物欲がなく、

極めて質素な生活を送っている一風変わった奴だ。

独身で年収もそこそこ。

はっきり聞いた訳ではないが、多分800万ぐらいなのではないかと推察する。

恥ずかしながら母親が病床に伏している時、彼に金を無心した事がある。

嫌な顔一つ見せずに彼は無利子の無期限で決して少なくない金を貸してくれた。

もちろん完済しているが。

俺の説明をじっと聞いていた彼は自分は女の気持ちには疎いからアドバイスは出来ないと言った。

その代わりに興信所を運営している無線友達に会ってみてはどうかと薦められた。

俺は一応社長夫人の6年分の調書があるからと断った。

彼は、ならどうして訪ねてきたのかと言った。

その報告書で納得出来ないから来たのではないのかと言われ、返す言葉が無かった。

興信所を運営しているというその人は思っていたより年配だったが凄く親切に対応してくれた。

仮にその人をAさんとする。

Aさん曰く価値観や性癖は人それぞれなので不用意な助言はできないそうだ。

しかし浮気現場の会話からなら真偽を特定する事は可能だろうと言われた。

少なくとも俺の腹を決めるにはそれが一番ではないかと言われた。

盗聴ですかと俺は聞いた。

Aさんは隠す事無くそれを知るにはある一定の不法行為は不可避だと言った。

しかし本ケースの場合、逢引する場所がほぼ同じホテルである事から、準備はそう難しくないだろうと言われた。
ただそれには俺の協力も伴うし、下手をすれば訴えられる危険性も少なからずあるという。

金額は一回二百万。

ただし浮気当日だけの費用で良いという。

一瞬法外だと思ったが、不法性を考えれば適当な額の様にも感じた。

二百万なら辛うじて何とかなる額だ。

Aさんは俺に一つだけ条件を出した。

契約期間中は家庭内でいつもと同じ夫としての自分を演じきること。

会話もいつもと同じようにすること。

夜の回数も減らさないこと。

嫁の作った食事もきちんと取ること。

それと嫁の居場所を随時特定できる様に、携帯を15分ほど拝借させて欲しいということだった。

それだけ念を押され俺はその場を後にした。

一回目の浮気は二週間後に訪れた。

社長夫人から受けた報告では最短で三ヶ月のスパンと言われていたので完全に意表を突かれた。

携帯にAさんから連絡が入り、慌てて親友と待ち合わせ、ホテルへ直行した。

極度の緊張でアクセルを踏む足がおぼつかなくなり、察した親友が運転を代わってくれた。

部屋の一室を借り切った設備は盗聴ではなく紛れもなく盗撮用設備だった。

大型のモニターはまだ誰も居ないホテルの一室を映し出していた。

複数のカメラが設置してあるのか、画面は幾つかのアングルに分割されていた。

二百万の法外な契約料の意味をようやく理解した。

恐らくAさんはホテルのオーナーに話をつけていたのだろう。

口の中がカラカラに乾いて吐きそうになった。

もうすぐこのモニターの向こう側で嫁の浮気を目の当たりにするというのだから動揺するなという方が無理だった。

暫くしてAさんの携帯が鳴った。

Aさんは俺に向かって「奥さん今(ホテルに)入ったって」と小声で言った。

俺は胃液が逆流しそうになるのを辛うじて堪えながら妻達の入室を待った。

ドアノブが動き、カチャと乾いた音をがすると、ゆっくりとドアが開いた。

モニターに手を繋いで入室する二人の姿が映し出された。

もはや疑い様もなかった。
嫁と社長は寄り添う様に衣服を着たままベッドに横たわった。

二人は抱擁し合いながら何度かキスを繰り返した。

あまりの光景に眩暈がして気が遠くなった。

親友はそこで席を立ち、車で待ってると言って出て行った。

そっから先は完全に頭に血が昇って漠然としか覚えていない。

たぶん最初は会社の話とかしていた様な気がする。

はっきり覚えているのは行為の最中、社長が嫁に向かって何度も「愛してる?」と問いかけ、

嫁に「愛してる」の言葉をいわせていた事ぐらい。

正直、これは相当精神的に堪えた。

頭に血が昇り過ぎたのか、激しい頭痛で卒倒しそうになった。

盗撮終了後、車に戻った疲労困憊の俺を見かねた友達が、ギブアップした方が良いんじゃないかと言ってきた。

金は友達が立て替えても良いとも言ってくれた。

しかし気持ちは有難いけどこっちも意地があった。

契約を延長することにして、その日はそれで終了した。

翌日社長夫人と会い、一年だけ時間の猶予が欲しいと頼んだ。

親権を取るためにいろいろ準備したいと説明したら彼女は凄く俺に同情して容認してくれた。

しかし問題はAさんに言われた何時も通りの自分を演じるという約束だった。

食事は無理に詰め込んで誤魔化したが夜の方はどうしようもなかった。

盗撮映像で見た嫁の「愛してる」の一言がどうしても脳裏を過ぎった。

それでもバイアグラで無理に起たせて事に及んだ。

薬の副作用なのか、行為の最中血流が乱れて激しい頭痛にみまわれた。
二度目の浮気は報告書通り三ヵ月後。

しかし残念ながら撮影は空振りに終わった。

使用したのがいつものホテルではなく、スタンバイが間に合わなかった。

しかし料金は5万で済み、安堵した事も付け加えておく。

それより問題は俺の健康状態だった。

さすがに精神的な支障をきたしだし、嫁がこさえた飯が喉を通らなくなった。

必然的に夜も完全に無理になった。

正直、会話をするのも億劫になった。

とにかく嫁と顔を合わせるのが嫌で、休日は一人で田舎へドライブに出かけ、そこで過ごすようになった。

嫁が欝を心配して病院に行ったらどうかと言ってきた。

まさか(お前の)せいだとも言えないので会社が忙しいからと言って誤魔化した。

どうしても無理ならあなた(俺が)会社を辞めても私の稼ぎで何とかするからと励まされた。

正直、少し意外だった。

多少の良心の呵責はあるのかもしれないと思った。

そのせいもあってか三回目の浮気の兆候は半年が過ぎてもなかなか現れなかった。

間もなく社長夫人との約束の一年が近づいて流石に焦りだした頃、ようやくAさんから連絡が入った。

今度は間違いなくいつものホテル行きそうだという。

一回目と同じ設備で埋め尽くされた部屋で嫁と社長が入室するのをじっと待ち続けた。

俺はこの一回で契約を終了しようと心に決めていた。

もう身が持たないからだ。
嫁と社長が入室してきた。

意外なことに、会話の冒頭は関係解消の話からだった。

俺に欝の兆候が出ていて心配だということ。

もしかしたら自分たちの関係がバレたのかもしれないという内容だったと記憶している。

しかし社長はバレる訳がないと一笑に付した。

仮に興信所に依頼したとしても半年に一度の関係を立証する事は不可能だと言いながら、慰める様に嫁を抱きしめた。

どうやら社長は奥さんが6年もかけて浮気を立証している事など微塵も疑っていない様子だった。

嫁は、もういい加減、良妻賢母を演じる事に疲れたと言った。

だから関係を解消したいと言った。

情けない事に俺は号泣してしまった。

俺と結婚してからの長い年月、良い嫁だと思っていたあの姿は全て演技だったのかと知った瞬間、

我慢しても涙が止め処なく流れ落ちた。

子供と一緒に旅行に行ったあれも、俺の母親が逝ったときに泣いてくれたあれも、

全ては演技だったのかと思うと騙され続けていた自分が途方もなく無価値な存在に思えてきた。

社長は仮にバレたとしても俺は嫁を捨てる事は出来ないだろうと言った。

常習ではないし、子供の養育を考えたら最終的に嫁の稼ぎを当てにせざるを得ないだろうと言った。

バレた時点で関係を解消すれば良い。

非を認め、ひたすら謝り倒せば再構築の道を選ぶに決まってると言いいながら、社長はさりげなく嫁の服を脱がしにかかった。

嫁子をここまでに育てたのは俺だと社長は言った。

同時に自分が耕した畑に自分の種を蒔いて何が悪いとも社長は言ったが、俺はその言葉の本当の意味を理解出来ていなかった。

途方もなく長い時間が流れた後、社長は自分の種をその畑とやらに放ち、モニター越しに意味を突き付けた。

俺は白濁色の種が映つしだされた所でギブアップし、契約は終了となった。
余談でかなり昔の話になるが、夜分遅く帰ってきたきた嫁の寝床に潜り込んだ事がある。

その時ヒステリックに拒否された事を思い出した。

翌晩、昨日は精神的に疲れていたからごめんと謝りながら俺の寝床に入ってきたら忘れかけていた。

あれは社長の痕跡が残っていたからなのだろうと思い当たった。

俺はそうやって長きに渡って裏切られ続けてきたわけだ。

俺に同情してくれた親友が今日の料金は自分が立て替えてやると言ってくれた。

Aさんは、この動画はあくまで奥さんの浮気の真相を確かめる為に撮影されたものなので、譲渡する事はできないと言った。

不法性の高いものだから、俺がその映像をたてに嫁を脅す可能性を懸念したのだと思う。

当然のことだと思った。

事実、きっと俺はそうしていただろう。

Aさんは、しかしどうしても復讐しないと気が治まらないというなら連絡してきなさいと言った。

俺がどういう事ですか?と聞くと、内容は教えられないが、比較的安全な方法で精神的に追い込む事は可能だと言う。

しかしそれでも少なからずリスクを伴うからそれなりのモノは貰うと言われた。

俺は承知してその場で別れた。

翌日、社長夫人に例の調査報告書を提出してもらって構わないと連絡を入れた。

夫人は自分から先に話をつけさせて欲しいと言った。

俺はとりあえず彼女の動きを待った。



数日後、勤務中に夫人から携帯に連絡が入り、昨晩報告書を夫(社長)に見せた事と弁護士同伴で慰謝料の請求を行っている事を告げてきた。

少し胸がすく思いだった。
帰ると嫁が青い顔をして待っていた。

俺はそ知らぬふりをしてテレビを点けた。

暫くすると嫁が俺の前に静かに座り、土下座した。

「浮気してました、すいません」と搾り出す様な小さな声で言った。

肩を小刻みに震わせていたが、それも演技に思えて許す気持ちになれなかった。

双方の気分が高揚している時に短絡的に関係を結んでしまったとう言い訳は、

夫人の上場祝賀パーティでの話と合致するが、だからと言って許す理由には全くならない。

嫁は常習ではない事に活路を見出そうと必死だったが、映像で一部始終を目の当たりにした俺には無意味だった。

俺は今更責める気はないけど、せめて親権をくれるぐらいの良心があると信じたいと突き放した。

嫁は離婚だけは許して欲しいと泣きながら嘆願してきた。

そうやってずっと演技し続けるのも疲れただろう?と俺は言った。

嫁はハッと驚いた表情をして俺を見上げた。

この人はどこまで知っているんだろう?という猜疑心に満ちた目だった。

俺は自分のサインを入れた離婚届を彼女の前に差し出し「お互いに楽になろう」という言葉を残して自室に入った。

嫁は最後まで離婚を渋った。

もう一回だけチャンスが欲しいと食い下がった。

中学生になる二人の子供(長女中三)(長男中一)は、母親の不貞を知り、幻滅した様子だった。

特に嫁に懐いていた長女は汚い女だと激しく罵った。

しかし意外な事に子供は再構築を望んでいる風でもあった。

娘に離婚になったら俺についてきてくれるかと聞いたら、あんなでも私にはたった一人の母親だからと言われた。

俺への愛情は偽りであっても、子供に対する愛情は本物だったのかもしれない。

数ヶ月が過ぎたある日、家に帰ると妻のサインが入った離婚届がテーブルに乗っていた。

俺がどうしてもと言うなら仕方ないので離婚しますと彼女は言った。

同席していた二人の子供を見ると気まずそうに下を向いていた。

そういう事か…。

と俺は全てを察しながらあえて「お前たちはどうするんだ?」と言った。

ケジメだと思ったからあえて自分の口からそれを言わせたかったのもある。

「ごめん、私たちお母さんと離れる事ができない」

と娘が言った。

俺は無言の息子にも「お前もか」と言った。

息子は小さく頷いた。

そして俺は嫁の顔を見た。

冷徹な嫁の視線がそこにあった。

(ほらね、結局こうなるのよ)と言いたげな勝ち誇った表情に、居た堪れなくなった俺は負け犬の様に離婚届をつかむとそのまま家を出た。

悔しくて情けなくて公園の公衆便所に閉じこもってひたすら泣いた。

翌日、実家に帰り、年老いた父に離婚を告げた。

すっかり涙もろくなった父はそれを聞いて目頭を押さえた。

可愛いがっていた孫にもう会えなくなると思ったのだろうと思うと、少しだけ離婚に踏み切った事を後悔した。

しかし全ては後の祭りだ。

だからといって嫁のところに頭を下げるつもりはさらさらなかった。

妹にも携帯で離婚を告げた。

憔悴しきった自分を見せたくないから携帯で済ませようと思った。

妹に怪しいと思っていたと言われて驚いた。

母の葬儀のときに手伝ってくれていた嫁が手が空いて、妹と一緒に何となく昼のドラマを見ていたそうだ。

それがちょうど社長と社員の不倫の話で、妹が「こんなこと現実じゃ怖くてできっこないよね」と言ったら、嫁の視線がちょっとだけ泳いだそうだ。

社長夫人といい、女の嗅覚は凄いんだと改めて思い知らされた。
結局、全てが嫌になった俺は会社を辞めた。

全てリセットしたくて携帯も銀行口座も変えた。

後で妹から嫁が慰謝料を払いたいと言ってきてると連絡が来た。

俺が頑なに離婚を譲らないから子供と組んで賭けに出たのだと言っていたらしい。

妹が兄は行方不明だと告げると、自殺してしまったのではないかと心配していたそうだ。

しかし今更そんな事はどうでもよかった。

とにかく俗世と離れたかった俺は当てもなく東北に向かい、最終的にそこに定住した。

月収11万の水道検診の仕事で何とか食いつないだ。

さすがにそれじゃ足りなくて日給10000円で水曜日だけボロアパートの管理人の仕事をすることにした。

老人ばかりのアパートで最初は辟易したが、住人が思いのほか俺を可愛がってくれた。

残ったおかずや使わない贈り物やらを俺にくれて大いに生活に役立った。

妹も気にかけてくれてフリマで見つけた服を俺に送ってくれたりした。

久しぶりに訪れた安穏の日々だった。

しかし残念ながらいいことばかりでもなかった。

父が町会の草刈の途中で倒れ、そのまま逝ってしまった。

多分、俺のことでの心労もあっのだと思う。

一応訃報は妹経由で嫁宅にも知らせたらしいが、嫁はともかく二人の子供も葬儀には顔を出さなかった。

父の葬儀のときに妹から嫁が副社長に就任していることを聞かされた。

社長が罪滅ぼしに昇進させたのかなと俺が言うと、社長側は離婚回避したのだから多分そうだろうと妹が言った、

社長夫婦が再構築したという話は初耳だった。

妹宅に尋ねてきたときに知らされていたらしい。
ようやく落ち着きかけていた心が、再び怒りに侵食されていった。

生まれて初めて芽生えた激しい憎悪に夜も眠ることが出来なかった。

いよいよ我慢できなくなった俺は親友にそれを話した。

一連の騒動で俺に同情してくれていた親友は、復讐するなら協力すると言ってくれた。

もともと一人暮らしで物欲のない彼は、金も無利子で貸してくれるという。

俺はAさんに久しぶりに会う事にした。

Aさんは、復讐として某アダルト動画投稿サイトにタグを全くつけずに例の映像をアップするんだそうだ。

そして動画のアップ先を会社のメインクライアントのインフォメールに送信すると言う。

リスクは伴うが、訴えられる可能性は低いとアドバイスされた。

訴訟を起こすと知らない人まで話が広まる可能性があるから、大抵の場合は動画削除で話が終わるんだそうだ。

一発目の動画は目線にモザイクを入れて、親しい人以外には本人だと分からない様にする。

しかしその動画はすぐに削除依頼が来るはずなので、

二発目の動画に引っかかり易いタグを付けて今度はモザイクなしで大衆の白日の下に晒してみようという事になった。

かなりハイリスクなので最低でも一千万は欲しいといわれた。

法外な額だが親友は金の心配はするなと言ってくれた。

俺は依頼要請し、仕事があるので再び東北へ戻った。
数日後、Aさんから動画を打ち合わせ通りアップしたというメールが送られてきた。

正直、人を貶める事に慣れていない俺は激しく動揺した。

せっかく安穏の日々を手に入れた矢先に、あえて再び心がささくれ立つ事をする必要があるのかと自問自答した。

返ってけして消えることのない心の傷を負ってしうような気さえした。

三日後に妹から連絡が入った。

元嫁が血相変えて妹のところに駆け込んできたそうだ。

途方もない損害賠償を課せられることになりそうだから、居所を教えて欲くれないかと、掴みかからんばかりの勢いで言ってきたらしい。

妹は、例え連絡先を知っていたとしても、全てを失った今の兄にそれは何の脅しにもならないだろうと応えたそうだ。

親権まで奪わなければ兄もそこまでしなかったはずだという言葉で、嫁は諦めて帰って行ったらしい。

案の定、一発目の動画はすぐに削除された。

Aさんが直後に二発目の動画を発射しましたとメールを送ってきた。
数週間後、Aさんから連絡が来て、社長夫婦が離婚訴訟沙汰になっていると聞かされた。

会社の経営も思わしくないらしい。

Aさんの調査によると、嫁の会社は増益を見込んで銀行から相当な資金を借り入れ、設備投資をしていたそうだ。

例の動画が知れ渡った事が原因なのかは不明だが、かなり契約社員の足切りが行われている様だと教えてくれた。

ほぼ同時期に妹からも嫁の手紙を預かっていると連絡が来た。

動画を目の当たりにして自分がしてきた事の罪深さを痛感しているということ。

自分が報いを受けるのは当然だということ。

しかし子供たちに罪はないということ。

今、学校で動画が明るみに出て、子供たちが学校に行けないでいるということ。

どうかこれ以上、子供たちを苦しませることは止めて欲しいという内容を妹が口頭で読み上げてくれた。

スッキリしたくて行動したはずが、何故か心は晴れなかった。

きっと人を呪わば 穴二つとはこの事を言うのだろう。

Aさんは動画が削除される度にアカウントを変え、執拗にアップロードを繰り返した。

走り出した以上、もう止めたところで仕方がないと思い、Aさんのするに任せた。

数ヵ月後に妹からまた連絡が入った。

いよいよ会社が倒産するらしいとの事。

小額ながら不渡りを出したらしい。

役員に昇格していた嫁も借り入れの保証人になっているらしく、かなり窮地に立たされていた様だ。

子供は嫁の実家に預けたらしいと教えてくれた。
暫くして社長夫人が物凄く俺に会いたがっていると妹から連絡が来た。

どういう経路で妹の居場所を突き止めたかは不明だが、突然尋ねて来たらしい。

社長が会社の屋上から飛び降りたそうだ。

しかし妹が言うには夫人は怒ってはおらず、むしろ俺のことを戦友だと思っているとの事だった。

そこまで会いたがっているのならと思い、会ってみることにした。

元夫人は思いのほか元気そうだった。

会うなり彼女は「ザマーミロよね!」と言ってガッツポーズをしながら、実に清々しい笑顔を見せた。

例の映像を見て離婚を決めたらしい。

「本当よくやってくれたわ、有難う!」って言いながら俺の両手を掴んで何度も礼を言われた。

彼女の笑顔を見て少し報われた気がした。

「あの人(社長)は今更人の下に付いて働くなんて、プライドが許さなかったのね」

と彼女はつぶやいた。

そして(死へ)逃げたのよと付け加えた。

その点、元嫁は地方で地味に働いていて偉いと思うと言われ、はじめて元嫁が何処かに働きに出ていることを知った。

地方ショッピングモールの衣料量販店で働いているらしい。

元夫人は悪戯そうな目つきで「行ってみない?」と言った。

「どこに?」と聞くと「決まってるじゃない」と、いかにも楽しそうに笑った。

元夫人は俺の返事を待たずに俺の腕を取ると、そのまま彼女の軽自動車に乗せられた。

元社長夫人とはいえ、慎ましい生活を余儀無くされている状況が車種からも見てとれた。
三時間近く車に乗っていたが、終止元夫人は鼻歌交じりの上機嫌だった。

きっとかなり旦那(社長)には苦しまされてきたんだろうという事が窺い知れた。

車を駐車場につけると元夫人はすかさず俺に腕を絡めてきた。

ドキドキしながらそのまま店に入ったが、店員に嫁の姿は見当たらなかった。

「時間が違うのかな?」と俺が言うと、元夫人が奥を見てという風に顎で試着室の方を指した。

視線だけそっちに送ると、嫁と目が合った。

合った途端に嫁が慌ててばつが悪そうに視線を逸らした。

制服がそれなりに似合っていると思った。

元々スタイルはそこそこ良かったから、歳がいっていてもそれほど違和感はなかった。

元夫人はヨレヨレになった俺のジャンパーの袖を摘まみながら、新しいの買った方が良いわねと意味深な目付きで俺を見た。

そして適当な物を見繕い手に取ると、買ってあげるから試着してみなさいよと俺にそれを手渡した。

俺が躊躇していると、ホラと俺の背中を押した。

俺が近づくと元嫁は怯えた表情を見せ、狼狽えた様に後退りした。

その仕草で彼女がどれだけ精神的ダメージを負ったのかよく分かった。

いざ試着してみると一回り小さく、もう1サイズ大きいものを頼もうとしたら、元嫁が既に用意して待っていた。

そういえば、俺の服は彼女が殆ど買っていたのを思い出した。

嫌味の一言でも言ってやろうと思っていたが、彼女と共に過ごした長い年月を思うとその気持ちも萎えた。

レジで会計をを済ませると、元夫人がわざとらしく再び腕を絡めてきた。

そしてそのまま背中に元嫁の視線を感じながら店を出た。

彼女がどういう表情をしているのか気になったが、最後まで振り返る事は出来なかった。

ショッピングモールを出ると元夫人が「あ~スッキリした~!」と言って天を仰いだ。

空は雲一つ無い晴天だったけど、全然心は晴れなくて

「俺はあんまり」という言葉が自然と口から出た。

元夫人に「人がいいのねぇ」と呆れられた。

彼女と別れてから帰りの新幹線の中でよく考えてみた。

冷静に考えてみれは、別に元嫁や子供をあそこまで地獄に落とさなくても、

俺は俺で会社なんか辞めずに慰謝料貰って、そこからもう一度再出発してれば良かったんじゃないかって。

相手を貶めても得られるスッキリ感はほんの一瞬、別に自分が浮かばれる訳じゃない。

まぁ、これからは親友に借りた金を少しづつ返済しながら生きていくつもりだ。

●コメント
お疲れ様
としか言い様がないな

●コメント
とりあえず言えることは、親友は大切にしておけ そんな良い奴は普通の人生で出会わん

●コメント
> 自分が耕した畑に自分の種を蒔いて何が悪いとも社長は言ったが、俺はその言葉の本当の意味を理解出来ていなかった。
この部分の回収がまだなされていません

●コメント
読めば読むほど、酷い体験だったね

子供たちにとって祖父に当たる>>俺父親が亡くなった時に
孫が葬式にも来ないなんて信じられない
だけど元嫁はやって来て、副社長になったと自慢したとは
普通逆だし、社長の愛人やっていて離婚したから副社長に昇格なんて元嫁の口から語れないよ、まともなら

しかも
>途方もない損害賠償を課せられることになりそうだから、居所を教えて欲くれないかと、掴みかからんばかりの勢いで言ってきたらしい。

まだ>>俺から毟ろうとするのか
慰謝料払う立場の癖に

正直、自分たちは再構築したからと元嫁の副社長昇格を黙認していた社長夫人にもモヤるが
(その時点で再構築はなくなるよ、まともな神経の持ち主ならね)
元嫁が酷すぎて霞んでしまった

今までにあった最大の修羅場を語るスレ3 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1413653252/

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