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犯人と警察から大切に扱われた犬たち

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る男が、職を求めて新潟から名古屋にやってきました。

しかし、彼は人に騙されて事業に失敗したという辛い過去があり、
素直に人を信じることが出来なくなっていました。

そのため、就職をしても人間関係がうまくいかず、
「もう自殺しよう」
そう考えてしまうほど、男は追い詰められていました。

そんな彼の生きる希望となったのが、
公園で出会った三匹の野良犬でした。

彼には、世間に疎まれ孤独な立場の自分と、
彼ら野良犬たちの姿が重なって見えたのでした。

彼は自分を慕ってくれる三匹の犬たちを家族のように扱い、
唯一の寝場所であったワゴン車の中で慎ましやかな生活を送ります。

しかし、ある寒い冬の日のことでした。

ワゴンの窓ガラスが何者かによって割られてしまいます。

窓のないワゴン車では、
到底冬の寒さをしのぐことなどできません。

そんな時、困り果てた彼の前にタイミングよく現れたものがあります。

実はタイミング悪く現れたのですが、
キーがつけっぱなしで置いてあった車でした。

彼は寒さに負けて、その車を盗んでしまい、
そして当然の結果として、警察に逮捕されることになりました。

彼は、自分の犯した罪に対して反省し、己の行為を恥じます。

しかし、それよりも心配だったのが、
残してきた三匹の犬のことでした>>>

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察のマニュアルでは、彼が拘留されている11日間のうちに、
新しい飼い主が見つからなければ、
三匹は処分されることになっていました。

彼は、拘留中の間も、終始三匹の犬のことを心配し、
数人もの係員の人に今どうしてるかなど問いただしました。

警察は、彼の犬に対する愛情に心打たれます。

そして、1週間以上も犬たちの面倒を見たあげく、
新しい飼い主を探そうと東へ西へと奔走してくれたのです。

これは警察署では異例ともいえる行動でした。

犬たちには新しい飼い主が見つかり、
幸せに暮らしたということです。

参考本:「ちょっといい話」より
佐藤光浩著 アクアポリス文庫

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